感情から逆算して売る方法

マーケティングを学ばれているあなたであれば、人が商品を買う理由は「感情」であるという話を聞いたことがあるかと思います。

あなたもそうだと思いますが、何かを欲しくなる瞬間というのは、頭であれこれ考えておらず、なんか衝動的に「欲しい!」という感情が刺激されているわけなんですね。

「このネックレス、とても素敵!」

「あの車に乗ってみたい!」

「この時計、めちゃくちゃかっこいい!」



そんな直感的な感情が先にきて、その商品を欲しくなります。


直感的な感情が大元にあるために、自分にとって「なぜ必要か?」ということが実は曖昧なわけです。



そうすると、どうするかというと、その感情で欲しくなった商品やサービスを買う「理屈」を探し出します。

理屈を見つけられたら、まるで自分が感情で買うことを、正当な理由があるかのように納得し、購入までたどり着くというわけですね。

このような感情は、ブランド力が高い商品ほど、大きく影響します。


例えば、高級時計のロレックス。かっこいいですよね。欲しいですよね。


しかし、時計の基本的な効能は、「時間を把握すること」です。そうであれば、スマホを見れば時間はわかるし、普通の腕時計だっていろんな機能がついていて便利なはずです。

それにもかかわらず、何十万円もするロレックスを購入する人がいるわけです。その理由は、先ほど言った通り、時間を知るという用途以外に、その人が持つ感情や欲求が満たされるから買っているわけなんですよね。

ロレックスを身に付けることで、「自分を立派に見せたい!」という欲求が満たされたり、高級時計を身に付けるだけで、自信に繋がる人もいるでしょう。

時計の持つ「効用」だけで売っていては、どうしても感情の刺激が少なく、直感的に「ほしい!」と思われることは半減してしまうんですよね。それでは売り上げも半減してしまうようなものです。

もっとあなたの商品やサービスが、誰かの「感情」を刺激することができたのなら。もっと商品は売れると思いませんか??

カーネマンの意思決定モデル



人が感情で物を買う決断をしていることは、あらゆる心理学者が研究し、極めて有効性の高い実験結果が出ています。


その一つに、ノーベル賞にもなった、ダニエル・カーネマンの意思決定モデルというものがあります。詳しくは、カーネマンの研究を紹介している「ファスト&スロー」という本を買って読んでみてほしいのですが。(←マニアの世界へようこそ)

ここではめっちゃ分かりやすく解説するため、私の解釈で説明させていただきますね。



カーネマンの研究では、人が意思決定をするときの心理プロセスを、システム1と、システム2の二種類に分けて考えられると話しています。

システム1というのは、直感です。(あれこれ考えない)
システム2というのは、熟考です。(めっちゃ考える)



あなたが商品を売り込まれた時、まず最初に起動するのがシステム1の「直感」です。


この直感は、ほぼ無意識領域です。あれこれ考えていない状態で、しかも24時間休みなく働いています。



多くの商品やサービスを買うかどうかは、まずこのシステム1の直感を突破しないと、いけないわけです。ロレックスなんかはもうまさにシステム1をバッチリ刺激しています。

ただ、直感の怖いところは、うまく感情を刺激できれば「ほしい!」となりますが、一切感情を刺激しない場合には「いらん!」と弾かれてしまうんです。

と、いうことはですよ?


そもそもどんなに商品の良さや価値を伝えようとしても、最初の数秒で感情を刺激できなければ、システム1の段階でゴミ箱行きなんです。(よもやよもやだ。)

なので、最低でもシステム1で(即決されなくとも)、感情を刺激し、システム2の「熟考」まで思考プロセスを進めなければ売れないわけなんです。

・・・これまで、感情の刺激について考えていなかったあなた。



これを機会に、今後は全部お客さんの感情から逆算して、システム1を刺激する設計にしちゃえば、今以上に売れることはまず間違いないと思います。

2つの感情を刺激せよ!


では、具体的にどうやってシステム1を刺激すればいいのでしょうか。

感情には大きく分けて2つの感情があります。一つはプラスの感情。もう一つはマイナスの感情です。一つずつ解説しますね。

目次

プラスの感情


まずプラスの感情です。これは、買うことで得られる「ポジティブ」な感情のことをいいます。例えば「美味しい物を食べたい」とか、「カッコよく見られたい」とかですね。

ノースカロライナ大学教授のバーバラ・フレドリクソン博士が唱えたポジティブ感情というのがありますが、自己肯定的な心の状態で、喜び、感謝、安らぎ、興味、希望、愛、畏敬などの感情のことをいいます。

このような自己肯定的な感情を刺激できれば、システム1は作動します。こう言った感情を得られるのであれば、お客さんは迷わずあなたの商品やサービスを購入するでしょう。

マイナスの感情


次にマイナスの感情です。これはポジティブ感情とは逆で、ネガティブ感情に当たりますね。ネガティブ感情は自己否定的な心の状態で、怒り、不安、怖れ、嫌悪、嫉妬などの感情です。

ネガティブ感情は気分の良いものではないですが、ある程度は私たち人間が生きる上で必要な感情です。


人には、防衛本能というものが備わっていますから、このネガティブ感情を刺激することができれば、かなり強力にシステム1が作動するでしょう。

心理学でも、人は何かを得られるよりも、何かを失うことの方を嫌う思考がありますので、このネガティブ感情が設計できれば、かなり強いパワーを持たせることができます。

感情をうまくメッセージに取り入れよう



このように、顧客の意思決定プロセスの「システム1」を発動させるためには、プラスの感情やマイナスの感情を刺激しなくてはいけません。

今一度、あなたの商品メッセージを見てみてください。


メッセージのどこかに、システム1を発動させる感情は入っていますでしょうか?特に、人は秒で広告を判断しますので、秒で伝わるヘッドラインには、その感情を刺激させるような要素を盛り込んでほしいと思います。

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